やることがない、やりたいこともない、何をしていいのかわからない…
楽しみにしていたはずの定年後の日々が、ただの長い一日になってしまっては悲しい。
長い会社生活を終えて通勤やノルマから自由になったのに、行くところもなく家でごろごろして、行き場のない不安や不満を貯めてしまっては、本人も周りもつらいもの。
わかっちゃいるんですよね、「趣味の一つも持っておけばよかった」って。
大丈夫です!
始めるタイミングは人それぞれ。好きなことも人それぞれ。
ただ、会社に代わる新しい居場所を作る必要がある、そして悲しいかな老いが近くなった我々定年世代としては、
趣味を長く楽しむために、是非心がけていただきたいことがあります。
趣味はいくつあってもいい
もしも、自分にピッタリの何かを探して、考えているうちに動けなくなっているなら、
あるいは、定年後やりたいことリストをつくって、「そのときになったら始めよう」と動きを止めているなら、
考え方を変えましょう。
後でも述べますが、趣味を一つに決め打ちする必要はありません。
むしろ、持ち駒は多い方がいい。
気になることにはちょっとでもいいからとりあえず手を付けておいて、色々な趣味をつまみ食いしておくと、定年後の動き出しが軽くなります。
一日中没頭できる何かが運よく見つかるかもしれないし、そうでなくても、人間関係が変わっていく中で何が役に立つかわかりません。
何よりも、そうやって動いていること自体が、新しいことを始めるときの壁を低くしているのです。
歯車と一緒で、一度動きを止めてしまうと次に動き出すのはとても大変。
社外に連続性のある活動やおつきあいがあれば、会社生活が終わったときに「何もやることがない」と途方に暮れることはありません。
現役のうちに色々なものに手を出して、あちこちに助走路をつくっておきましょう。
助走から始めて、いくつか走り出しておいてもいいんじゃないでしょうか。
義務感はNG、楽しいと思えるものを
「なにかやらなくては」と始めて見たものの、やる気が起きない。
勇気を出して参加して見たものの、この先楽しくなる気がしない。
そんなこともあると思います。
それはそれで仕方がない、「一歩踏み出したことに価値がある」と自分を褒めてあげて、一旦それは横に置いておくのもいいと思います。
何かのきっかけでまたやる機会があるかもしれません。その時のハードルはぐっと低くなっているでしょう。
せっかく始めた趣味がストレスのもとになってしまっては本末転倒。
脳が「楽しい」と感じることに、たくさん取り組んでみてください。
話変わりますが、私の父はその点、天才的でしたね(笑)
趣味が多い、というか何にでも興味を持つ人だったので、遺品には笑っちゃうようなものが沢山ありました。
- 楽器(エレキ数本、アコギ多数、ウクレレ数本、三線、ハーモニカ、ピアニカ、電子キーボード、木琴、マラカス数セット、オタマトーン、等。ドラムセットは処分済み)
- 音楽関係のガジェット(パーカッションパッド、くるくると巻けるピアノ、オタマトーン、等)
- 競技用の吹き矢と的(一時、吹き矢教室!に通っていたらしい)
- 手品グッズ(トランプ、スティックの手品、お手玉、等)
- 手回し式製麺機(年代物?)
- 竹スキー(博物館行き?)
- 七輪の1人BBQセット
- バッグ類収集(?)
- 王様のアイデア的なもの
- 美術品?収集(一見高そうな絵画、掛け軸、人形、…)
- 他にもあったかな…
興味を持つわりにすぐに飽きてしまう人で、実際やっているのを見たことはほとんどありませんが、楽しそうですね~。
じゃあ趣味は何?というと、特にこれというものはなかったみたいな(笑)
どれも長続きしなかったようですが、母の話では、やっているときはとても楽しそうだったんだそうです。
何となく想像できるけど、ひとつぐらい続けてもよかったんじゃないかなー。もしかして、何にでも手を出すのが趣味?
ちなみに父はお酒と本が好きな人で、旅行に行ったり飲みに行ったりとかも楽しそうにやっていました。
それでよかったのかな・・・
人間関係を広げていく
趣味は一人で完結せずに、コミュニケーションにつなげるべきです。
脳を健康に保つには、次の3つの要素が不可欠であると言われています。
- 知的好奇心
- 軽い運動
- コミュニケーション
「知的好奇心」は記憶力向上と脳の活性化をもたらし、「軽い運動」は脳の萎縮を抑えて認知機能を向上させ、「コミュニケーション」は共感する行為が脳を刺激します。
ボケの予防に大切なこと ~ 知的好奇心が脳に効く!!
ボケても素敵なご夫婦はいます。でもできるなら最後までぼけずにいたい。脳を健康に保つためには「知的好奇心」で脳を活性化するのが有効です。知的好奇心のアンテナを高くあげて、楽しそうなこと、楽しそうな場所を探しましょう!ドラムも、いいですよ!
続きを見る
脳のためにも、せっかく始めた趣味は誰かと共有して、コミュニケーションのネタとしても活用して行きましょう。
絵を描く、詩を綴る、俳句を詠む、映画をみる、本を読む… など、一人でできることでも、探せば仲間はいるはずです。
ひとりで完結しないように、同好の会に入ったり発表の場を持ったりしましょう。
ブログに記録をしておくと自己紹介がしやすいし、思わぬつながりができることもあります。
もちろん、全ての趣味についてオープンにやる必要はありません。ひとりでニンマリ楽しむ趣味もあるでしょう(どんな趣味だ?笑)。そう、趣味はいくつあってもいいのですから。
趣味を通じて「共感のネタ」を育てていきましょう。
違う年代と交わる
同じ趣味でも、どういうところに参加するか、どういう人たちと楽しむかで、楽しさや雰囲気やうける刺激が変わります。
同じ年代で固まってしまうと、知識や考え方も画一的になりがちです。下手をすると、同じような問題を抱える人たちが集まって愚痴をこぼす場に…?
先輩に学んだり、若い人の考え方に触れる場があると、自分をUpdateできます。
「誰とやるか・どこで楽しむか」にもよりますが、「同じ年代が固まりがちな趣味」「様々な年代と交流しやすい趣味」というのはあります。
スポーツは、体力で年代が分かれることが多いと思います。
私はご近所テニスの仲間に入れてもらっていますが、なんと私が最年少(笑)、最年長はかなりお上手な84歳!テニスのことだけでなく、先輩たちから聞く地域情報、健康情報は、これからの生活の参考になります。
先輩たちとの冗談を言いながらのテニスは楽しいですが、基本がシルバーテニスなので若い人には物足りないかもしれません。どちらかというとそこに参加している私の方が珍しいやつかも。
周りを見ると、同じような年代、同じようなレベルのグループが多いです。普通そうなりますよね。
いろいろな集まりに顔を出して、違う年代の人たち、価値観の違う人たちと交流できると、人間の幅も広げられると思います。
幅広い年代の人と楽しめるのは、たとえば音楽です。
年代による音楽の好みも人それぞれで、楽器演奏では年代の壁を軽く超えることができます。
今、私はドラムをメインに音楽を楽しませていただいていますが、先輩のバンドに混ぜて頂いたり、息子みたいな歳の子とバンドを組ませてもらったり、本当に年代は様々。一音一音がコミュニケーションで、いい緊張がありますね。
練習の後の飲み会で、普段聞けない若い人の話を聞くことができたり、逆にこちらの話をして若い人の反応を知ったり、そんな会話からも刺激をもらえます。
若い人から何かを教わる姿勢も大事。
「好きなこと」を「楽しく」が第一ですが、違う年代との交流ができる面白そうなコミュニティを見つけて、新しい居場所に加えられるように積極的に動くとよいと思います。
ホリエモンに学ぶ ~定年世代の我々こそ、年代を超えたおつきあいを
コミュニティが家族か会社しかない、同じ年代の人たちとしかつるまないのが当たり前。ホリエモン氏が、そんな人たちに危機感を感じていることを語った動画があります。豊かな人生を歩むためには、遊びを全力でやる!年代の壁を超える!ことが大切だと説いています。
続きを見る
どんな趣味でも、自分のレベルが上がるほど、仲間入りできるコミュニティーが増えます。
早いうちに始めて、レベルを上げておくのが吉。
定年を迎える前に、準備を始めましょう。
マンネリにならず、成長を感じられるように
現役の時は、昇給や昇格、仕事の達成感で、自分のレベルアップを感じることができました。
しかし会社を辞めると、自分の成長を測る物差しは自分で作らなくてはなりません。
ある人は資格の数、ある人はダイエット、ある人は資産運用、・・・
達成感は人それぞれですが、趣味を通しても日々の成長を感じることはできます。
それには、
- 義務感でただ何となく続けるのではなく、
- 知的好奇心をもってその趣味に没頭すること、
- 上達しようと努力を続けること、
- 記録をつけていくこと。
今はYoutubeという便利なものがあって、何かを学ぼうと思えばいくらでも関連する動画があります。
動画ではわからなかったら、誰かにきいたり、スクールに入って指導をあおぐこともできます。
そうやって小さな成長を続けていけば、あるとき「前よりいい感じの自分」に気がつくはず。
加えて数字や映像やブログで記録をつけていると、成長が見える化できます。
これ、励みになりますよー。^.^
すこしだけ努力する
長く楽しむためには「努力」も必要です。
努力をしないと「成長」もないからです。
今でこそドラムやってますと言っている私ですが、実は「もうやめようか」と真剣に思った時期がありました。
ロックで楽しくやっていた時期、ジャズのビッグバンドに声をかけて頂いて行ってみたもののジャズの作法を全く知らず、いきなり楽譜を渡されて何もできず視線が痛く、これが「針のむしろ」ってやつかと…
その時にやめずに頑張ったおかげで、ジャズドラムも学ぶことができて、ぐっと幅が広がって、まだまだ先があることがわかって、未だ発展途上。今はドラムが「楽しい」と言えます。
もしも今、ちょっとしんどくても・・・
「やりたい」という気持ちがなくならないのであれば、その先に何かがありそうならば、歯を食いしばって頑張る時期があってもいいかもしれません。
頑張り方は人それぞれ、無理はしなくていいですが、その先にはきっと「一皮むけた」自分がいるはずです。
それはたぶん、今よりずっと楽しい。
イベントをつくろう
日常に変化をつけるには、イベントをつくりましょう。
趣味があれば、関連するイベントに参加する機会があります。
発表会、大会、試合、交流会など、カレンダーに印があるとそれが目標になって、マンネリどころではなくなりますね。
旅行はそのものがイベント、準備からワクワクします。
いろいろな趣味を組み合わせてイベントを散りばめると、一年を通して楽しいこと(あるいは緊張)が次々やってきて、退屈する暇がありません。
自分のペースでスケジュールに趣味イベントを組み込んで、ワクワクをつくりましょう。
趣味がマンネリにならないだけでなく、日常にメリハリが生まれます。
さあ、忙しくなってきました・・・
今楽しめること + 歳をとってもできることを
今楽しめることは、できるうちに存分に楽しみましょう。
会社から解放された後の自由時間、残念ながら体力は下り坂に向かっています。
日常生活に不自由なく体を動かせる「健康寿命」は実際の寿命よりも短く、平均寿命は男性で80.21歳、女性で86.61歳であるのに対して、健康寿命は男性で71.19歳、女性で74.21歳です(平成28年版厚生労働白書より)。
激しい運動ができるのは、もうちょっと若い時まででしょうか。
山登りはハイキングに、野球やサッカーはシニアリーグに、テニスはシルバーな集まりに、徐々に変わっていくのかと思います。
そしてそれすらも出来なくなってきたとき・・・
歳をとっても楽しめる何かを始めておくといいですね。
う~ん、将棋とか囲碁とか勉強しておくべきかなぁ。そういうのやってこなかったからなぁ。
…実は私、あまり心配していません。
そのころにはテクノロジーが進化して、VRやARで外に出なくても楽しめる何か、刺激しあったり交流したりできる何かが生まれているのではないかと期待しています。いや、きっとできる。
視力が衰えても、耳が遠くなっても、楽しめる何かをお願いします(笑)
その時のために、テクノロジー(特にコミュニケーションデバイス)に触れ続けていく努力が我々には必要でしょう。
今はスマホが使えないお年寄りを笑っていられても、次に来るデバイスを「スマホでいいじゃん」とスルーしていると、そのときの素晴らしい「何か」を楽しめなくなってしまうかもしれません。
歳をとると、新しいものがだんだん面倒くさくなってきます。私も既にいろいろ面倒くさい^^;
でも、例えばスマホに変わる新しいコミュニケーションデバイスが出てきたら、頑張ってついて行きたいと思っています。
良い趣味を支えに、人生を楽しむ
人生には、最低でも3本の柱が必要です。
現役時代なら例えば、1本は仕事、1本は家庭、1本は趣味。
1本の柱が危機に瀕しても、残り2本の柱を支えに何とか苦境を乗り切ることができます。
定年を迎えて仕事という柱がなくなっても、趣味の柱がいくつか立っていれば、毎日を無気力に過ごすことはないでしょう。
定年前に是非、柱を増やしておきましょう。
人生を楽しく!